残業の上限規制を巡り、月100時間の残業を容認するかどうかが焦点となっていますが、最近の労働裁判では、月80時間を超える残業について「公序良俗に反する」「労働者への配慮が欠ける」との判断が相次いでいます。

なぜ月80時間を超える残業について裁判所が「公序良俗に反する」と判断するのでしょうか。それは、厚生労働省が定める脳・心臓疾患の労災認定の判定基準により、月80時間を超える時間外労働が過重労働による労働災害発症との因果関係が強いと定めているからです。

脳・心臓疾患の労災認定の判定基準における労働時間と災害発症の関連性についてのおおまかな考え方は次の通りとなります。

① 1か月あたりの時間外労働が45時間を超えない ⇒ 業務と発症との関連性は弱い

② 45時間を超えて時間外労働が長くなればなるほど、業務と発症の関連性が徐々に強まる

③ 発症前1か月間におおむね100時間または発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月あたりおおむね80時間を超える時間が労働が認められる場合 ⇒ 業務と発症との関連性が強い

したがいまして、残業の上限規制の法制化以前に月80時間を超えるような時間外労働を常態として行わせることは過労死のリスクがあることを使用者は認識しておく必要があります。

残業月80時間超は公序良俗違反 相次ぐ司法判断(共同通信社)